2025.10.31
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腰痛、肩こりを生み出すもの
今回のテーマは「腰痛、肩こりを生み出すもの」ですが、腰痛、肩こりだけでなく、東洋医学の根幹となる理論にもふれています。
腰痛、肩こりにお悩みの方だけでなく、東洋医学や鍼灸の理論にご興味のある方にもご覧いただければ幸いです。
お悩みが一つではない不思議
腰痛、肩こりで悩まれている方は非常く、2022年度の国民生活基礎調査では、男性・女性ともに自覚されている症状の第1位が腰痛で、第2位が肩こりとなっています。
西洋医学的には腰痛の原因は、
・脊椎に関係する筋肉・靭帯の疲労や損傷
・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症などの整形外科疾患
・加齢による筋力低下
・尿路結石、胆管結石、悪性新生物などの内臓に影響を及ぼす疾患 など
肩こりの原因は、
・デスクワークなど、長時間同じ姿勢をとること
・スマホの使い過ぎによる首・肩周囲の筋肉の緊張
・精神的・肉体的ストレス
・冷房による血行不良 など
によるとされています。
当院でも腰痛、肩こりのお悩みで来院される方の割合はとても多いです。
ただ、ほとんどの方は腰痛、肩こりだけでなく、のぼせ、不眠、倦怠感、足の冷えなどの自律神経由来と考えられる症状もあわせて抱いておられます。
一見、これらの症状は腰痛・肩こりと無関係のように思われますが、東洋医学においてはその出現には明確な理由があります。
なぜ、腰痛・肩こりと同時にこれらの症状が生じるのか。今回はその答えとなる腰痛・肩こりを生み出しているものの正体ついて述べさせていただきます。
腰痛・肩こりを生み出すものの正体
結論から申し上げますと、肩こり・腰痛を生み出すものの正体は「冷えと熱」です。
西洋医学を理解されている方からすれば、
「意味がわからない。冷えによって筋肉が収縮して痛みが出るというのはまだ理解できる。
でも熱って何?感染症による発熱からの痛みってこと?だったら鍼をしている場合じゃないでしょ?」
というコメントが返ってきそうです。看護師時代の自分も全く同じことを考えると思います。
東洋医学は、人の身体は「気」という生命エネルギーによって動いていると考えています。現代人には馴染みのない概念ですが、これは東洋医学の理論の根幹となるものです。
そして、人の身体を非常に繊細なものと捉えているのが特徴です。
繊細であるため、気温の変化、食事や睡眠、怒りや悲しみといった感情による影響を受けます。ストレスのよる影響を受けやすいといえばわかりやすいでしょうか。
「ストレスで食べすぎてしまう」
「天気が悪くなる前の日から身体がだるくなる」
といったこともこれに関連します。
ストレスは人の身体だけでなく、身体を動かしている「気」にも影響を与え、そのバランスを乱します。
少し専門的な話になりますが、「気」は「陰気」と「陽気」に大きく分けられています。
この両者は混ざり合っており、その調和が健康維持にとって重要となるのですが、ストレスは両者のバランスを乱れさせ、体内の「気」に上下・左右・内外といった偏り(かたより)を作り出します。
「気」は体温を調整する働きも有していることから、その偏りが生じると体温を調整する機能が上手く働かなくなり、体内に温度差を発生させてしまうのです。
この温度差が「冷えと熱」となります。
この「冷えと熱」は、東洋医学における五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きを弱めるため、さまざまな症状を出現させます。
例えば、上半身には「熱」が偏りやすく、下半身には「冷え」が偏りやすい傾向があります。
・頭や肩といった上半身に「熱」が偏れば、頭痛、肩や首のこり、不眠、咳
・足や腰といった下半身に「冷え」が偏れば、腰痛、足の冷え、疲れやすい、下痢
といった症状が生じやすくなります。
症状の改善には正しく治療すること
もっとも、熱がある部分を冷やし、冷えがある部分を温めれば症状が改善するのかといえば、そう単純なものではありません。
肩こり一つとっても、「熱」によって生じるものもあれば、「冷え」によって生じるものもあるからです。さらに「熱」が停滞することで「冷え」に変化することあります。
その原因を見誤り、誤った治療方法を選択すると、症状を悪化させてしまうことになりかねません。
それゆえに、丁寧にお話しをお聞きし、お身体に触れ、脉(脈)を診ることで「冷えと熱」を生みだしている「気」の偏りの原因をできるだけ正確に把握し、現在の状態に応じた治療方法を選択することが重要となります。
東洋医学が予防医学といわれているのは、生命力や免疫力に影響を及ぼす体温調節機能を有する「気」のバランスを整えることにより、今ある症状だけでなく、症状が出現しないように身体そのものを改善することを目標としているからです。
今回のポイント
・腰痛・肩こりを生み出すものの正体は「冷えと熱」
・「冷えと熱」は「気」の偏り(かたより)によって作り出される
・症状の改善には、「気」の偏りの原因にアプローチすることが重要となる
今回は東洋医学の専門的な概念を含むため、できるだけ平易な語句を使うように努めましたが、わかりづらい内容となったかもしれません。何分浅学のためご了承いただければと存じます。
今年は急に気温が冷えてきたため、「冷え」の症状が出ている方が増えています。
そのため、次回は「冷え症の方の特徴と治療」について述べていく予定です。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
それでは、次回もよろしくお願いします。



